2018 年 74 巻 5 号 p. I_103-I_108
本研究は,水平解像度20kmの領域気候モデルから段階的な力学ダウンスケーリングを行う際に,地形モデルの選択が,降水の空間分布や豪雨による洪水流出に与える影響を検討することを目的とする.気象庁55年長期再解析(JRA-55)をもとに水平格子間隔20km,5kmの2段階のネスティングを行った.5km実験においてはGrid mean地形モデルとEnvelope Mountain地形モデルを用い,中部地域における降水量の分布傾向の違い及び長良川流域における洪水流出解析結果に与える影響を検討した.その結果,山地地形がより強調されるEnvelope Mountain地形モデルでは,平野から山地に移行するエリアに多くの降水が集中し,内陸部での降水量が減少する傾向があること,長良川流域においては降水イベントの降水量がやや過大評価傾向となり,洪水ピーク流量では,過大評価傾向がより強調されることが確認された.