2018 年 74 巻 5 号 p. I_13-I_18
気候変動は大雨の激甚化,高頻度化のみならず,降雨の時空間特性の変化をも引き起こすことが懸念される.降雨の時空間特性の変化は洪水ピーク流量の増大や洪水被害の形態を変えうることから,将来の洪水外力に対する効果的な対策の実現のためにはその特徴がどのように変化するかを予測する必要がある.本研究ではアンサンブル気候予測データから得られる大雨の時空間分布を用い,従来の気候条件と温暖化進行後の気候条件での十勝川流域,常呂川流域における降雨の時空間特性を分析した.また,数十年の観測結果からだけでは評価が困難な台風がもたらす大雨の特性を定量的に評価し,温暖化進行後においても台風由来の大雨の相対的な危険性が高いことを示した.