2018 年 74 巻 5 号 p. I_163-I_168
基盤地図情報 標高データと国土数値情報 水域データを用い,日本全域1秒(約30m)解像度で各ピクセルにおける地表水流下方向を表す表面流向データを整備した.標高データに含まれる誤差などのために広域での表面流向データ開発は困難と考えられていたが,最急勾配法で算定した表面流向を必要に応じて逆転させるアルゴリズムの開発によって効率的な表面流向計算を実現した.入力データの高精度化と計算手法の改良により,開発した日本域表面流向データは既存のHydroSHEDSなどと比較して正確かつ詳細な河道ネットワークを表現することを確かめた.また,表面流向に加えて上流集水面積・水文補正標高・河道幅などの付加的データも,変数間の整合性が取れるように整備した.開発した表面流向データは Web で公開予定であり,水工学に限らず多様な地球科学分野への応用が期待できる.