2020 年 76 巻 2 号 p. I_1321-I_1326
希少魚種であるホトケドジョウLefua echigoniaの未成魚(全長4cm以下)について生息環境評価を実施した.湧水起源の都市小河川において,網羅的な生息環境調査を月一回の頻度で2年間実施した結果,未成魚は成魚と比較して水面幅が大きく,断面植生被度が高い環境で多く採捕された.また,現地調査で得られたデータにランダムフォレスト(RF)を適用した結果,未成魚の生息環境は流速と水温の影響を大きく受けており,流速では20cm/s以下の流速条件で顕著な生息場ポテンシャルの上昇が示された.よって,浮遊期を持つ未成魚にとって,成魚よりも流速が小さく,流速緩和効果の大きい植生やリターの多い環境の重要性が示唆された.今後,死亡率の高い稚仔魚期等の生活史初期段階における生息場や繁殖生態を解明することが保全上重要である.