2022 年 78 巻 2 号 p. I_187-I_192
本研究では,河道特性と安定河道縦・横断面形状から,大局的に河岸や護岸の被災リスクを推定する手法を構築したまず,①現況河道データ,②河道平面・縦横断形状に基づく最深河床高,③安定河道式による安定河床位と川幅,④動的平衡河床縦断形を用いた,⑤現況河道の護岸被災リスクポテンシャルの1次元推定法を構築した.次に,同手法を彦山川へ適用した.その結果,(1)河岸や護岸の多くは,河道特性により安定状態にはなく,川幅が拡幅する傾向のある横断面で被災していること,(2)河岸・護岸の被災区間は,同手法の評価で被災リスクポテンシャルが高い区間に含まれること,(3)過去の横断面データで被災リスクの評価が高い区間は,その後の出水の被災発生区間と一致していること,などが確認された.