土木学会論文集D2(土木史)
Online ISSN : 2185-6532
ISSN-L : 2185-6532
和文論文
「風景利用策」に見る本多静六の自然風景の利用に対する考え方について
小川 徹真田 純子
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 68 巻 1 号 p. 38-48

詳細
抄録

 国立公園などの自然風景地における利用と保護のバランスは,国立公園制度の開始前から現在に至るまで課題となっている.本研究では本多静六の風景利用策を取りあげ,風景利用策における個別の計画を整理した上で,本多自身が何を風景資源ととらえ,それを生かすためにどのような空間改変を考えていたのかを明らかにすることを目的とした.その結果,風景利用策の背後に4つの考え方があったこと,風景資源は,風景地全体のイメージ,風景地内部の眺め,その土地の特徴を良くあらわす植物や地形などのほか,本多自身が「こうあるべき」と思う理想像の場合もあったこと,しかしそれらを生かすための空間改変については相互に矛盾する部分もあったことを明らかにした.

著者関連情報
© 2012 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top