土木学会論文集D2(土木史)
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和文論文
錬鉄・鋼移行期における橋梁材料に関する考察~旧江ヶ崎跨線橋200ftトラスの事例より~
五十畑 弘鈴木 淳司上野 淳人尾栢 茂
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2012 年 68 巻 1 号 p. 96-106

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抄録

 旧江ヶ崎跨線橋200ftトラス(常磐線隅田川橋梁)は,錬鉄から鋼に切り替わった比較的初期の鋼橋である.鉄道橋から道路橋に転用され,もう一度道路橋に再生される過程で,鋼材性能等の調査がされた.イングランドのハンディサイドで製作され輸入されたことは,すでに知られていたが,再生加工中に,部材表面の陽刻から,鋼材はスコットランドの製鉄会社からのものであることが確認された.
 本論文では,部材再利用を通じて得られた知見や,新たに入手した19世紀後半における錬鉄,鋼材,製作工場等に関する文献によって,錬鉄から鋼へ切り替えが進められた時期における初期の鋼橋技術について考察を行った.この結果,錬鉄から鋼へ切り替わる時期における構造材としての鋼に対する当時の認識や,切り替えにおける技術的判断の過程が明らかとなった.

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© 2012 公益社団法人 土木学会
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