2018 年 74 巻 1 号 p. 14-28
19世紀のヨーロッパにおいては,大都市の駅舎のホームにはトレイン・シェッドが建設され,駅空間のシンボルとして君臨してきたが,現在においてもその圧倒的な存在感は失われていない.これに対し,明治・大正期の日本においては,ホームのみを覆い,軌道上部が開放されたプラットホーム・シェッドが主流であり,トレイン・シェッドは採用されなかった.本研究では,日本においてトレイン・シェッドが建設されなかった理由を,駅舎空間や当時のエンジニアが行った欧米視察記,停車場論,鉄骨建築史等から考察することを目的とする.