2022 年 78 巻 1 号 p. 115-125
本研究は,大正期以降30年程の間に急速に都市基盤を構築した大垣を対象として,そのプロセスに焦点をあてる.この間,鉄道敷設・電力事業・河川改修・都市計画事業など,一見独立した多種の公共的事業が連続的に興った.実施されたプロジェクト史料を相互参照しながら時系列で整理した結果,各事業を主導した人物(実業家や内務省及び県の技術者ら)が事業や組織の枠を超えて連携し,河港大垣という都市像へ昇華する工業都市建設のために水陸に亘る連続的な基盤構築を継続的に発展させた経緯が示された.