2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_15-67_I_23
本研究は,京都の北山に位置する大文字山,衣笠山,朱山,大内山を対象として,それらの山の風景を「見方」の持続という観点から考察した.それぞれの山の見方を特定の視点場から歴史的に把握すると,山を霊山,神,眺める対象とする複数の見方が把握できた.これらの見方は視点場の性格の変化や興味の対象となる山が変化した場合においても継続され,ひとつの視点場において複数の見方が持続されていることがわかった.つまり,山の風景は,いくつかの見方の集積が持続されており,これを文化資産として認識し,保全していくことが重要であると言える.