2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_169-67_I_176
製品・サービス・プロジェクトの環境評価を行う際,評価範囲(システム境界)の設定によって結果が大きく異なることがある.本研究では交通システムを対象に,評価範囲設定による評価結果の違いを検証し,システム外部を評価範囲に含めた分析の必要性を検討する.例として,新たな地域間超高速旅客・貨物輸送システムの構築による環境負荷削減効果をLife Cycle Assessment (LCA)を用いて評価する.東京―大阪間を対象に,リニア新幹線新設とそれにより可能となる在来新幹線の高速貨物輸送での利用を想定する.旅客・貨物輸送を統合して評価することで,地域間輸送システム全体の環境負荷が減少する可能性を感度分析によって定量的に示している.また,環境負荷増加分をオフセット可能な高速貨物輸送機関の運行本数を明らかにしている.