2012 年 68 巻 5 号 p. I_437-I_444
本研究では,地方都市における公共交通が将来にわたって持続性を保っていくために,市民に必要な要素と考えられる長期的な視野と利他性の2点に着目して非協力ゲーム理論を用いた分析を行った.その結果,短期的,利己的に判断すると自動車利用が望ましい場合においても長期的視野,利他性の程度によって公共交通を選択する可能性があることを理論的に確認した.さらに,2点に着目した制度を導入することを想定してその効果を分析した結果,制度の導入により市民が公共交通を選択する可能性が高まり,持続性を高める可能性があることを示した.