2013 年 69 巻 3 号 p. 227-236
近年,地震や火災発生あるいは大規模イベント開催における混乱に伴う二次的災害や,交通結節点における混雑などを解消する必要性から,時々刻々と変動する人々の流動を日常的に把握する必要が出てきている.そこで,本研究では,東京都市圏などの広範囲における人の流れを推定する際に,データ同化手法を用いて推定値を補正し,より精度の高い推定値を得ることを目的に研究を行った.まず,人の流れの推定手法として,PT調査データを用いトリップベースで実人数に拡大する手法を提案する.そして,その推定値に対し,パーティクルフィルタ法を用いて観測値を同化し,精度を高める手法を提案する.観測値として駅乗降客数や道路交通量調査などを想定し,それらをデータ同化することでより精度の高い推定を行えることを示し,手法の妥当性を確認した.