2017 年 73 巻 4 号 p. 219-227
本研究では,標準的な住宅立地モデルとボトルネックモデルを統合し,CBD直前にボトルネックが存在する単一中心都市における異質な通勤者による出発時刻・居住位置選択行動をモデル化する.そして,その均衡状態と,動的な混雑料金を導入した状況下の均衡状態を対比的に分析する.その結果,動的な混雑料金の導入に伴い,各通勤者の出発時刻・住宅立地パターンが大きく変化することが示される.さらに,これらの変化に伴い,都市がスプロールする可能性があることも明らかにされる.この結果は,静学的な交通混雑を考慮した住宅立地モデルで得られている結論「混雑料金の導入は都市空間構造をコンパクトにする」が,必ずしも動的な混雑料金の下で成立するとは限らないことを意味している.