2018 年 74 巻 4 号 p. 387-397
近年,宅配荷物の再配達の多さが社会的問題となっている.再配達が増加している要因の一つに,世帯単位での不在率が上昇したことが挙げられる.しかし,世帯単位の不在率の傾向を実証的に示した研究は見当たらない.本研究ではパーソントリップ調査(PT調査)のデータを用いて個人及び世帯不在率の算出法を構築し,個人および世帯属性別の不在率の実態を実証的に明らかにする.具体的に熊本都市圏PT調査のデータを用いて,2時点間の個人及び世帯不在率を比較し,時系列変化に影響を及ぼす要因について考察する.結果として,15年間で個人不在率には大きな変化がないものの,世帯不在率は大幅に上昇したことなどを示した.また,その要因を世帯構成比の変化と世帯構成別の不在率の変化に分解し,それらの影響の時間帯別の違いなどを実証的に明らかにした.