2018 年 74 巻 5 号 p. I_493-I_504
これまでの我が国の都市計画の分野においては,人口増加に合わせた「成長論」が議論の中心であった.しかし2008年には日本全体として人口減少が始まったとされており,今後は急速な人口減少・高齢化等の問題に対応する必要がある.そのため今後の都市構造を検討する上では,人口減少期に合わせてその地域の持続性を高めていく,都市における「退化」についてその概念を広く普及させていく必要がある.そこで本研究では都市構造の経年的変遷に着目した地域類型を作成したうえで,それぞれの地域における居住者のトリップに着目して,都市における「退化」の性能を試算した.その結果,人口や都市サービス施設が経年的に減少している一部地域は,増加している地域よりもトリップ数が多く,経年的にもその傾向を強めている可能性が明らかとなった.