2018 年 74 巻 5 号 p. I_55-I_63
北海道東部の中標津町における通行規制を伴う暴風雪時を対象とし,携帯電話の位置情報による「モバイル空間統計」と「混雑統計」を用いて暴風雪時の交通行動を分析した.また,住民等の危機意識調査と通行規制の影響調査を行った.交通行動分析から,暴風雪時に中標津町とその周辺地域の住民は交通行動を中止していることおよび暴風雪前の事前準備行動を行うことが明らかとなった.意識調査から,暴風雪時の危機意識が高く,暴風雪に備える行動を行っていた.また,多くの関係者が通行規制による災害リスク回避に理解を示していることが示された.以上から,中標津町とその周辺地域において暴風雪時における住民の自発的な防災行動と行政による通行規制およびそれを住民が受容していることから暴風雪時の災害リスクを回避していることが明らかになった.