抄録
我が国における東京圏への人口一極集中は,世界的に見ても類を見ないほどに進行している.人口の一極集中については長年にわたり是正の必要性が唱えられてきた.一極集中の是正を図るためには,一極集中が生じる要因に関する実証的知見が必要である.国際比較に基づく既往の研究から,一極集中の一要因として「インフラ整備水準の低さ」が挙げられており,また国内ではインフラ整備の東京圏への集中が一極集中を招いているとの指摘があるものの,前者は全般的な整備水準を扱うのみで,また後者は定量的分析が不十分という問題がある.そこで本研究では,道路インフラ整備の空間的分布の偏りが,人口の一極集中を引き起こしているか否かを定量的に検証する.結果,国内外のデータから,インフラ整備の集中が人口集中を引き起こす可能性が示唆された.