2020 年 75 巻 6 号 p. I_145-I_152
本研究は,2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震時における室蘭市民の防災意識と減災行動をアンケート調査から明らかにするものである.アンケート調査は,発災後の約3週間後に実施し,住民基本台帳(18歳以上)から無作為に抽出した5,000世帯に配布し,有効回答数は2,187部となった.これを集計したところ,年代や居住地区で防災意識や地震後の行動に差異が見られた.次に,クラスター分析により,回答パターンの類似性で回答者を類型化した.これらの特徴を整理し,GIS上に可視化し,今後の防災・減災計画とそれに伴う教育のありかたについて考察した.今後は災害に対して備蓄などの自助の意識を持たせると共に,災害時に必要な情報を世代間で隔たりなく発信する共助力を育てる施策が重要となる.