2020 年 75 巻 6 号 p. I_171-I_180
本研究では,津波災害が懸念される徳島東部都市圏で,東日本大震災前後に新築された戸建住宅の居住世帯を対象としたアンケート調査結果を用いて,新築戸建住宅立地の実態を把握するとともに,立地要因を特定し,津波災害などの災害リスクに加えて,家族との近居およびまちへの想い(地域心象)に着目し,その影響を明確にすることを目的としている.対象都市圏での新築戸建住宅立地では,近隣公示地価,居室数,交通利便性だけでなく,地域への愛着が影響していること明確となった.また,東日本大震災前後での意思決定時期による立地の差異として,震災前には徒歩圏での近居および自動車アクセスを前提とした近居が考慮されていたが,震災後では最大想定津波浸水深などの災害リスクの回避を重視する傾向が明確であることがわかった.