2020 年 75 巻 6 号 p. I_277-I_285
非都市部において,日常生活に最低限必要な都市機能を集約させる「小さな拠点」の整備が目指されているが,人口減少等により,それらの維持・形成が困難なケースが存在する.そこで本研究は自動運転車に都市機能を搭載し,無人で移動・営業を行う機能搭載型自動運転車 “ADVUS” の導入による小さな拠点での都市機能の供給手段を提案し,医療サービスを対象に住民の小さな拠点の実行動と利用意向の比較を通じて,ADVUSの小さな拠点への配置によって顕在化する利用意向を分析した.その結果,1)実行動以上に小さな拠点への利用意向が存在し,ADVUSによる都市機能の一時配置により小さな拠点が利用される可能性を示した.また,2)住民の医療サービスの利用頻度から,一台のADVUSで複数の小さな拠点間を移動しサービスを供給できる可能性を示した.