2020 年 75 巻 6 号 p. I_299-I_307
市町村が主体となって拠点の形成が目指されている.拠点には階層性があり,都市部の都市型拠点と中山間地域の小さな拠点は別々に計画されている.今後,市町村域を超える広域での拠点間連携が考えられるが,広域的観点から一体的な拠点階層の整理がされていない.そこで本研究は,各市町村計画における拠点について広域的な観点から施設数や集中トリップ数を把握する.これら拠点に関する計画と実態の乖離分析等を通じて広域的な拠点階層設定に寄与することを目的とする.分析の結果,計画で都市型拠点であっても小さな拠点に判別されるケースがあることや,小さな拠点でも公共交通を有する拠点によっては中心拠点に判別されることが明らかとなった.以上より,計画と実態の間で乖離が生じており,広域的観点での拠点階層の見直しの必要性が示唆された.