2020 年 75 巻 6 号 p. I_501-I_511
経路検索システムには時刻表にとらわれない検索者のいつ,どこから,どこへ移動したいかという希望に関するデータが蓄積されている.本研究では,山陰両県に導入されている経路検索システム「バスネット」の検索ログデータを用いて,検索者の移動希望に応じたバスの時刻表設計方法を検討した.具体的には,検索ログデータから同一検索者の検索を抽出し,各検索者の移動がシステム上で入力した指定時刻に対して遅れを許すか否かを判定した.そして,検索者の外出希望時刻と実際のバスの運行時刻との差として定義される損失時間を算出し,乗車時間を加えた総所要時間を最小にするようなバス時刻表の設計方法を提案した.さらに,提案手法を用いてバスの便数が削減された場合の時刻表を作成し,便数削減の損失時間に及ぼす影響を明らかにした.