2021 年 76 巻 5 号 p. I_155-I_163
大阪府寝屋川市は第二次世界大戦後,大阪のベットタウンとして急速に発展し,人口が急増した.そのために地震時等に著しく危険な密集市街地が形成され,地震時において建物が倒壊し,消防車が目的地に到着できない地区が多数ある.最悪の場合,避難所へ避難できずに孤立してしまう恐れもある.そこで本研究では,地震時における細街路単位,区画単位で細かく脆弱性を定量化するための指標として車両ならびに人のリンク通行確率・ノード到達確率を提案した.さらに寝屋川市内の木造住宅密集地域を対象として,リンク通行確率・ノード到達確率・所要時間の期待値を定量的に評価した.その結果,連続立体交差化事業による側道整備によりノード到達確率は最大で98.2%増加し,所要時間の期待値は最大で73.6%減少することがわかった.