2021 年 76 巻 5 号 p. I_531-I_543
わが国のウォーターフロント開発は,1985年の長期港湾整備政策「21世紀への港湾」を契機に港湾空間に一般市民を呼び込むための港湾再開発として推進された.そして,その実現性を探るべくポートルネッサンス21やマリンタウンプロジェクト等の主要調査が全国展開され,その調査結果を踏まえて各地で開発事業が実現されたが,これら主要調査に関する当初計画の実現状況を分析した先行研究は極めて少ない.そこで本研究では,今後の望ましいウォーターフロント開発の留意点を導くため,2つの主要調査を対象に,当初計画と実現状況を比較・分析した.その結果,港格や都市規模が異なる2つの事業で同一項目・同一規模の施設が計画されたこと,マリンタウンプロジェクトではポートルネッサンス21と比して基盤施設が優先的に整備されたことなどを捉えた.