2021 年 76 巻 5 号 p. I_61-I_73
PFI・PPP(以下「PPP」)では,PPP 契約が政府・自治体と特別目的会社(SPC)の間で締結され,その SPC が金融機関からプロジェクトファイナンス(PF)の資金を借りていることにも鑑みれば,出資企業の有限責任性や資金調達におけるノンリコースの原則を前提に PPP 契約が作成されていると考えられる.しかしながら我が国の PPP 契約をみると,かかる原則と必ずしも相容れない契約条項が規定されている.本稿においては,事業者の有責事由に基づく契約義務不履行に伴う公共主体への賠償責任に関する条項を海外事例とも比較し分析したうえで,PPP 契約の適切な在り方を考察する.