2021 年 76 巻 5 号 p. I_777-I_784
近年,一人ひとりの人生の内容の質や社会的に見た生活の質を指す QOL が重要視されており,子どもの QOL に関する研究も進んでいる.より子どもの QOL 向上を目指すためには親子での子どもの QOL 認識が一致していることが望ましいと考え,本研究では,対象となる小学校高学年の子ども自身が評価する子どもの QOL と,親が認識する子どもの QOL の差の有無を明らかにする.また,認識の差を生む項目と子どもの生活環境や学外での行動との関連分析も行う.結果として,QOL 尺度 24 項目中 18 項目で親子の得点の平均値の差が見られ,親子ペアで詳細に見ると,友達関係,身体の不調に関して特に親子で QOL の認識に差が生まれていることが示された.また,それらの項目と関連がみられる,遊び・学外活動の特徴も把握した.