2022 年 78 巻 3 号 p. 78-92
地球温暖化の進行に伴い,降雨量や豪雨の頻度が増加することが予測されており,これらに対応するための治水施設の整備が必要とされている.しかし,今後,気候変動がどの程度の速度で進行し,気温が何度上昇するのかについては,多大な不確実性が存在している.そのため,従来のように,過去の降雨量のデータに対する統計解析の結果を用いて,治水施設の適切な整備時期を評価することは困難である.本研究は,気候変動の不確実性を考慮したうえで,治水施設に対する予算配分を動学的に最適化する問題と,この問題のヒューリスティックな解法を提案する.本研究はさらに,提案した最適化問題と解法を,日本国内の匿名の流域に対して適用し,その有効性を確認する.