2023 年 78 巻 5 号 p. I_553-I_560
近年,デジタル技術の普及や多様な働き方の推進により,社会変容が加速している.こうした状況を踏まえ,従来のように四段階推計法を用いて人の行動を集計量として捉えるだけではなく,個人の行動特性を把握しながら,社会の実態に即した検討が必要となっている.本研究では,個人の一日の活動を再現しトリップの連関性を考慮できるアクティビティシミュレーションと,近年その種類と量が飛躍的に増加している交通状態の観測データを用いて,低コストでより精度の高い政策評価や需要予測を可能とする推計手法の提案を行った.東京都市圏全体に対して本手法を適用することにより,予測精度が向上し,アクティビティシミュレーションに対して観測データを補完する有効性が確認された.