2023 年 78 巻 5 号 p. I_951-I_962
近年,条件不利地域の交通サービスを確保する手段として,地域住民自ら交通サービスの供給主体になる住民主導型交通が注目されている.住民主導型交通の課題として,継続性の低さが知られている.そこで本研究は,住民主導型交通の継続性に関する実態をアンケート調査より解明することを目的とする.本アンケート調査の対象は,交通空白地有償運送の形で取組まれている住民主導型交通を運営する住民組織とし,全国89の住民組織から回答を得ることができた.継続性は,住民組織の住民主導型交通に対する主観的な運営継続自信という設問により計測した.決定木分析の結果,短・中期的な継続性には交通サービス設計が強く関連し,長期的な継続性には,キーパーソンに過度な依存をすることなしに運営できることが強く関連していることがわかった.