2022 年 78 巻 6 号 p. II_364-II_373
ハノイ市は,過度なオートバイ利用から公共交通への利用を転換させるために,路線網の再編や延長といったバス利用促進施策を実施している一方,バス利用状況には期待された増加が見られない.この要因として,施策の策定にあたり住民の意識に関する分析が十分に行われていない点が挙げられる.本研究では,利用者,非利用者におけるバス評価の形成要因とその影響度を表す評価構造を明らかにすることを目的とする.利用者,非利用者双方を対象にアンケート調査を行い,共分散構造分析を用いて評価構造を構築した.その結果,利用者,非利用者ともに,車内環境の快適性が運賃や所要時間等のサービスより,バス総合評価に大きく影響を与えることが示唆された.また,バス移動における利点への評価や,欠点への許容度もバスの評価に影響することが示された.