2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17184
防波堤本体工の前面の少し離れた場所に潜堤を設置する“潜堤付き防波堤”は,気候変動に対する既存防波堤の改良工法として,また,藻場造成等の環境機能を併せ持つ構造形式として有効と考えられるが,波浪制御機能について十分な知見がないのが実態である.本研究では潜堤付き防波堤を対象に,構造条件や波条件ごとの越波流量,反射率,伝達率を明らかにすることを目的とする.機能検証は水理模型実験と数値計算により行い,複数の構造条件に対して設計条件である波諸元から波浪制御機能を推定するための知見を整理した.また,潜堤付き防波堤の越波流量は波高が比較的小さい場合は“消波工付き護岸”と同等程度であるが,波高が増大すると“直立護岸”と同等程度となることを明らかにした.