2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18146
藻場は魚介類の生活の場や酸素の供給など多くの役割を果たしている.しかし,近年の気候変動による環境の変化や人々の経済活動によって藻場を形成する海藻の生産とウニをはじめとした植食生物の食圧のバランスが崩れ,磯焼けの発生が深刻化している.磯焼けはコンブといった商品価値のある海藻の減少だけでなく,商品価値の見込めないウニの増殖を引き起こし,沿岸環境だけでなく漁業にも影響を与えている.本研究では,ウニとコンブを対象とした数理モデルを構築し,最終的に得られる収益を最大化するためのコンブの管理計画について理論的な分析を行う.その結果,コンブへの食害が大きく懸念される場合には,食圧管理レベルを引き下げる時期を遅らせるだけでなく,コンブが十分に成長できるよう食圧管理レベルを下げすぎないことも重要であることが明らかになった.