2024 年 80 巻 27 号 論文ID: 24-27002
日本において気候変動緩和策を行うと低所得階層ほど負担が大きい.つまり家計消費が逆進的な影響を受けると懸念されている.長期脱炭素目標を達成するエネルギーシナリオは多様であるが,日本の既往研究では,複数モデル間のエネルギーシナリオの不確実性を踏まえた家計消費への影響は分析されていない.そこで本研究では,複数のモデルを用いることでその不確実性を考慮して,日本の2050年脱炭素シナリオにおける所得階層別の家計消費への影響を評価した.その結果気候変動緩和策を行ったとき,2050年まで家計消費へ逆進的影響を与え,さらにその影響が2040年まで大きくなることがわかった.しかし,それ以降はモデル間で結果に幅があった.そして,その逆進的影響を抑制するためには経済的政策・技術的政策が必要であることが示唆された.