2024 年 80 巻 4 号 論文ID: 23-00089
本研究では,国土に占める災害想定区域(洪水浸水想定区域,土砂災害警戒区域,津波浸水想定区域)における土地利用の推移過程の特徴を1976年から2016年までの土地利用細分メッシュデータを用いて明らかにした.結果として,災害想定区域では「建物」用地は国土全体まではいかないまでも増加傾向にある一方で,「田」は国土全体と同水準で減少傾向にあったことが明らかとなった.また,自然的・農業的土地利用から「建物」用地への推移過程については,洪水浸水想定区域では「田」から,土砂災害警戒区域では「田」と「森林」から,津波浸水想定区域では「田」や「畑」からの推移が主であり,災害想定区域の「建物」用地の拡大を防ぐため,災害想定区域に応じた自然的・農業的土地利用を優遇する施策の必要性が示唆された.