2025 年 81 巻 17 号 論文ID: 25-17004
2024年能登半島地震による半島北岸の津波が(1)道路損壊による現地調査の困難,(2)隆起海岸の防潮効果,(3)津波と波浪の痕跡高が同程度による両者識別の困難などでよく判っていない.本研究は半島北岸の津波把握を目的とする.そのため,航空写真などから津波痕跡と判断される地点を特定し,痕跡高を現地測量した.これを痕跡高既知地点でも行い,本手法の有効性を確認した.次に一様斜面域において岸沖方向に一様な海岸隆起による静的津波初期モデルを提案し,浅水理論に基づく理論解析を通して,静的上昇した水域の水は沖へ出るだけで,陸岸で波打たないことを示し,この現象を輪島港での実映像などで確認した.これらは半島北岸の津波の主体は他所からであることを示唆している.津波初期水位上昇量把握のため半島北岸での白化上端位(隆起量)分布も現地測量した.