2025 年 81 巻 17 号 論文ID: 25-17027
干潟の保全や縮小,消失への対策を考える際には,局所的な土砂動態の解明も重要である.本研究では,約20時間の現地観測(流速,水位,濁度,水中カメラ)で得られた観測結果と現地土砂試料の粒度分析結果を用いた浮遊砂移動量の推定を行った.水中カメラ画像では観測期間中,砂漣は一方向に移動する一方で,浮遊砂は往復運動を繰り返し,瞬間的には砂漣移動方向とは逆方向にも大量の砂移動が発生していることが確認された.また,現地試料の粒度分析結果を参考に粒度区分毎の砂移動を判定し,総浮遊砂移動量を推定したところ,実施した2回の観測で1回目は5.90g/m,2回目は-51.51g/mと算出された.瞬間的な浮遊砂の移動方向が砂漣の移動方向と異なるだけでなく,海象条件によっては観測期間全体での移動量も砂漣の移動方向とは異なる可能性が確認された.