2025 年 81 巻 17 号 論文ID: 25-17038
アフリカ大陸西端にはDakarの半島があり,その南東側にはフック状汀線が伸びる.半島先端より南東38kmのNdayaneでは港湾建設が予定され,影響予測の必要性が生じた.そこで現況条件を調べるために,衛星画像による汀線変化の解析と現地調査等を行った.調査地はNdayaneと,その北西23kmのRufisque,南22kmのSalyである.Rufisqueでは波は汀線への法線に対し乾季には右回りから,雨季にはやや左回りから入射していたが,波浪の強弱に応じた岸沖漂砂による汀線変化が顕著であった.Ndayaneでは沿岸漂砂による季節的汀線変動が認められたが,南向き沿岸漂砂がやや卓越していた.一方,Salyでは南向きの沿岸漂砂が卓越していた.以上より,Ndayane周辺では波向の季節変動による汀線変動はあるが,防波堤建設による影響は大きくないと判断された.