2025 年 81 巻 17 号 論文ID: 25-17045
日本のGHGインベントリでは,藻場によるCO2吸収量の正確な算定が求められている.そのためには,全国規模での藻場の現存量を高精度,広範囲かつ十分なデータ密度で計測・解析することが求められる.しかし,従来手法の潜水調査では広域計測が困難であり、また衛星画像・空撮画像解析では現存量の把握は困難である.本研究では,グリーンレーザースキャナを搭載した長時間飛行可能なハイブリッド型UAVを用いて,北海道コムケ湖の全域(約256ha)の点群データを取得し,藻場の現存量を推定した.取得データをノイズ除去し,水面,植生,海底面にラベル付けした上で,複数の空間解像度(1–50m)において,被度を考慮した空間体積を算出し,実測湿重量と比較した.その結果,空間体積と湿重量に正の相関が認められ(20mでR2=0.85),湖全体の湿重量を高精度に推定できた.