2025 年 81 巻 17 号 論文ID: 25-17066
本研究は,UAVを用いた波浪とその直上の風速の現地観測を行ったものである.琵琶湖東岸の沖合200m,水深約3~4mの地点において12~28kmの長い吹走距離を伝播・発達した波浪に対し,UAVに風速計を取り付け各高度でホバリングさせて平均風速の鉛直分布を求めた.また,UAV直下を撮影した動画から水面輝度の時間変化のスペクトル解析を行い,輝度のピーク周波数より有義波周期を求めた.平均風速の鉛直分布から求めた摩擦速度,粗度高さは既往の観測結果と概ね一致し,摩擦速度と有義波周期からTobaの3/2乗則を介して求めた有義波高は,SMB法による推算値と妥当な一致を示した.現地観測によって有義波周期とともに風速の鉛直分布が得られることで,浅海域における風波の発達や減衰に関する理解が一層進むものと期待できる.