2025 年 81 巻 17 号 論文ID: 25-17187
東京湾に顕著な高潮をもたらした4台風を対象に,ベクトル型スーパーコンピュータ(2.45TFLOPS/Vector Engine)と最適化済みの気象モデルWRFのコードを使用し,上陸約4日~1日前の初期値を1日刻みで用いて台風及び高潮予測実験を実施した.計算結果として,2日前以降の予測は予測開始のタイミングが転向中の後半及び転向後となり,台風経路及び高潮ピーク時間の予測精度は比較的高精度であった.高潮ピーク時間の誤差は2日前予測で1~6時間となり,いずれのイベントでもその80%以上が上陸前の台風進行方向の経路予測誤差で説明された.本条件下において,少なくとも並列計算効率が50%を超える8ノード利用時(並列計算効率60%)の約2日前からの予測では,高潮のピークが生じる前にそれを予測可能であることが示された.今後,検討台風を増やした更なる事例検証を行う必要がある.