2025 年 81 巻 25 号 論文ID: 25-25020
大腸菌は,温血動物の腸管内に多数存在し,水環境中では長期間生存できないため,水環境のふん便汚染の指標細菌として利用されている.その一方で,水環境で長期間生存できる菌株の存在も報告されている.本研究は,河川水を最大42日間に渡って静置する実験を行い,そこに生息する大腸菌選択培地で陽性となる菌株の消長を観察した.その結果,実験最終日まで生存した菌株の割合は,基本的に2.0%程度であったが,条件次第では36.7%にも達した.この実験後の河川水から選択培地を用いて分離された陽性コロニー(全97株)のうち,87.6%が大腸菌と同定された.さらに,生理食塩水中での消長を観察した結果,河川水中で生き残った菌株の生存能力は菌株間で大きく異なり,同菌の指標細菌としての有効性を議論する上で重要な知見が得られた.