2025 年 81 巻 26 号 論文ID: 25-26001
本研究は,長崎県対馬地域における漁業者による海洋ごみの回収活動の実態とその貢献を明らかにすることを試みた.さらに,2020年から2050年における対馬市の海洋ごみ回収事業の持続可能性を評価するための環境・経済モデルをシステム・ダイナミクスにより構築し,BAUを含む4つのシナリオにより評価した.その結果,対馬では海洋ごみの回収量の97.0%を漁業者が担っており,さらに回収効率は全国平均を上回る高い値であることを明らかにした.システム・ダイナミクスによる環境経済シミュレーションの結果,現状のまま漁業者数が減少した場合,海洋ごみ回収量が現状の7,968m³から2050年には4,172m³へ減少することを明らかにした.また,対策シナリオとして,漁業者の回収負担の増加,産業廃棄物処理業者への委託,経済的誘引による漁業者数維持の3つを評価した.その結果,今後も持続的に対馬市における海洋ごみ回収事業を継続するには,経済的誘引による漁業者数維持が最も効果的であることが示唆された.