2025 年 81 巻 28 号 論文ID: 24-28001
近年,環境貢献の観点から木材の土木分野への利用が進んでおり,最近では木杭の吸水効果により地盤改良効果が促進される例が報告されている.そこで筆者らは,地下水位を設けたまさ土の模型地盤に木杭と比較用の人口材料を設置し,試験開始時及び1年後にサウンディング試験,含水比・飽和度測定,引抜試験,木材含水率測定を実施した.一連の結果から,地下水位の影響で水位以浅の地盤が毛管現象により飽和状態に近づき,摩擦抵抗が低下したことが示された.また,地盤の締固めや飽和度が類似した地盤内に埋設された杭では,側面粗さが引抜荷重に影響することが示された.さらに,毛管現象により地下水を吸い上げた木材の含水率と地盤飽和度が深度毎に類似した傾向を示し,相互に影響しながら平衡状態に近づく可能性が示唆された.