土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
論文
練混ぜ水として用いた高濃度NaCl水溶液によるコンクリートの性能向上に関する研究
原田 健二小磯 陽介
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2025 年 81 巻 6 号 論文ID: 24-00004

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抄録

 練混ぜ水として用いる高濃度NaCl水溶液がコンクリートの性能向上に及ぼす影響を実験的に検討した.実験結果より,練混ぜ水のNaCl濃度が20%以上になると,練混ぜ水が水道水のものより断熱温度上昇量および発熱速度が小さくなるだけでなく,乾燥の抑制に伴い乾燥収縮量も抑制できることが明らかになった.圧縮強度は28日強度が2割程度低下するが,屋外気中養生でも封かん養生と同程度の強度発現をすること明らかになった.数値計算の結果より,練混ぜ水としてNaCl濃度が20%以上のNaCl水溶液を用いることで乾燥および温度応力による初期ひび割れの対策として効果があることが明らかになった.そして,コンクリートの飽和度が大幅に上昇することと溶質の存在により溶存酸素量が減少することにより鋼材腐食の抑制効果が示唆された.

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