2011 年 67 巻 4 号 p. 625-636
本研究は,加熱冷却後のコンクリートの破壊力学パラメータについて実験的に検討したものである.加熱試験の前提として,常温の配合の異なるコンクリートを対象に骨材等の含有率が破壊力学パラメータにどのような影響を及ぼすか検討した.その結果を基に加熱試験を行い,破壊力学パラメータに与える加熱温度や冷却方法の影響を検討した.コンクリートの破壊力学パラメータは細骨材率との相関性が高く,その関係は高温加熱を受けた場合により顕著となった.加熱後の冷却速度を速めることにより試験体表層部が損傷した.これにより,破壊エネルギーの算出に必要なP-CMOD曲線での最大荷重は最大50%低下し,引張軟化曲線の初期引張応力は最大80%低下するなど破壊力学パラメータが変化した.