2012 年 68 巻 3 号 p. 157-165
温度,湿度,炭酸ガス濃度の養生条件を要因として,異なる3種類のセメント系結合材を用いたモルタルを促進炭酸化養生し,各種物性を取得した.その結果,配合によって炭酸化深さが大きくなる養生条件が異なり,炭酸ガス濃度の増大によって炭酸化深さが減少する場合があることを示すとともに,γ-2CaO.SiO2を含むモルタルは炭酸ガス濃度が高いほどCaCO3の生成量が多くなり,空隙を充填する効果が大きくなることを明らかにした.さらに,実験結果をふまえてトリチウム水を対象として物質遮断性を試算した結果,炭酸ガス濃度が高いほど物質浸透量は少なくなることを示した.