2015 年 71 巻 2 号 p. 124-134
予防維持管理の一つとして注目されている表面含浸工法を適用した場合,改質部と非改質部の塩化物イオン拡散係数を区分して耐久性設計することが推奨されている.しかし,改質部における拡散係数を同定する方法は確立されていない.本研究では,けい酸塩系表面含浸材を適用した場合の,改質部における見かけの拡散係数を推定する方法を提案した.すなわち,改質深さを測定した後,無塗布における塩化物イオン濃度分布と,表面含浸材を塗布したケ-スにおける塩化物イオン濃度分布を,等価かぶりを考慮しながらフィッティングさせ,改質部の拡散係数を同定した.さらに,表面含浸材を予防維持管理として適用した場合の発錆遅延期間を試算した.その結果,表面含浸材を塗布することで発錆時期が数年~12年間程度遅延されることを確認した.