2017 年 73 巻 1 号 p. 93-106
鉄筋コンクリート構造物の表面欠陥は,美観の良し悪しで評価されることが多く,表面欠陥がコンクリート表層部の物質透過性に与える影響は必ずしも十分に検討されていない.本研究では,基礎的な検討としてモルタルを対象とし,試験体形状を変化させて意図的に砂すじおよびあばたを発生させ,これらが塩分浸透性に与える影響を実験的に検討した.その結果,ブリーディング水が砂すじおよびあばたの発生に関与すること,砂すじおよびあばたが発生した場合,基準とした試験体よりも塩化物イオンが浸透しやすくなることが分かった.また,砂すじおよびあばたが生じていない場合でも,試験体形状によっては,ブリーディング水が滞留し品質が低下したために,塩化物イオンが浸透しやすくなる可能性があることが分かった.