2017 年 73 巻 3 号 p. 337-347
T形RCはりのせん断耐荷機構を明らかにすることを目的に,せん断スパン比とせん断補強鉄筋比の異なるT形RCはりの静的曲げ載荷試験を行った.その結果,T形RCはりのせん断耐力はフランジ幅を無視したせん断耐力の計算値を上回り,せん断スパン比が小さいほど圧縮フランジの存在によるせん断耐力の増加が大きくなることを確認した.また,せん断スパン比によってウェブと圧縮フランジの斜めひび割れの連続性が異なることを明らかにした.さらに,支点直上の引張鉄筋のひずみを用いてビーム機構とアーチ機構の負担するせん断抵抗を検討した結果,T形RCはりでは最大荷重時にアーチ機構が負担するせん断抵抗が矩形はりと比較して大きくなること,せん断補強鉄筋の配置間隔が広いほどビーム機構によるせん断抵抗が失われやすくなることを示した.